医療過誤Q&A

医療過誤に遭ったので、カルテの開示請求を行おうかと思っているのですが、証拠保全という方法もあるそうで、どちらの方法によるべきでしょうか?

 医療過誤か否かが微妙、もしくは経緯等が複雑なケース、病院側からきちんとした説明がないような場合には、証拠保全手続によるほうがよいといえます。そのような場合、カルテの開示請求では、全部の資料が出てこないこともありますし、改ざんが行われる可能性も高くなるからです。
 逆に、証拠保全は、裁判所の手続ですが、費用や時間もかかりますので、責任の存否が明確な場合とか、請求できる損害額が比較的低い場合などには、カルテの開示請求によることも検討することをお勧めしております。
 このあたりも、弁護士に相談してみてください。
 以下に、カルテ開示と証拠保全の違いを表にしておきます。
 

カルテ開示 証拠保全
改ざんの危険性 可能性としては相対的に高い 可能性としては相対的に低い
拒否される可能性 可能性は否定できない 可能性は極めて低い
過失の疎明 不要 要(ただし、主張が一応
整っていれば、疎明を厳格に
求められないのが通常)
費用 比較的低廉
(医療機関による)
謄写費用・カメラマン費用等で数万円、入院期間が長ければ数十万円以上
開示の範囲 一部になる可能性あり 基本的に全て
入手までの時間 申請から長くて数週間 弁護士に相談してから3か月以上先(申立準備+裁判所・カメラマンとの日程調整+記録作成に要する期間)
容易性 本人・遺族が可能 通常は弁護士が申し立てる

(医療事件実務マニュアル(相談・調査編)2008年12月 医療問題弁護団編 p.9)

 当事務所は弁護士の立場からして、基本的に依頼者が単独でカルテ開示を求めることはしない方がよい、という立場です。実際に依頼者が開示された記録を検討したら全く記録が不足しており、証拠保全からやり直したケースもありました。