消費者問題Q&A

1 強引な訪問販売で買った商品をキャンセルできないか?
 震災後まもなく,自宅に浄水器販売会社の販売員が訪ねてきて,「汚染物質の除去能力が非常に高い商品です」「今ならキャンペーン中で代金50万円です」と浄水器購入を勧められました。話しぶりは穏やかなのですが非常に押しの強い人で,帰ってほしいと告げても「契約書にサインしてもらうまで帰りません」と居座ってしまいました。原発事故で放射性物質の飛散が気になっていたところでもあり,根負けして契約書に署名・捺印してしまいました。
 1ヶ月ほど後になって浄水器で放射性物質を除去するのは難しいという話を聞きました。代金も高額なので契約を解除したいのですが,契約書には「買い主都合による解約の場合には,売り主に対して違約金10万円を支払う」との条項がありました。まだ商品は受け取っていませんが,契約を解除するには違約金を支払わないといけないのでしょうか?

 当事者双方が合意して締結した契約を、後から一方当事者の都合のみで解除することは原則としてできません。本件のように、「買主都合による解約の場合には違約金を支払う」旨の条項が契約書に定められている場合、合意によって解除権が設けられている(約定解除権)ため、一方当事者の都合のみで解除することができますが、違約金の支払いを免れることはできません。しかし、消費者と事業者の間の契約においては、交渉力や情報力に劣る消費者の利益が不当に害されないよう、消費者契約法による保護が受けられます。ここでいう「消費者」とは,個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く)をさします。本件の場合、消費者と事業者の間の契約であり,「帰ってほしい」と告げてもセールスマンが退去せず、困惑した結果として契約を締結したといえますので、消費者契約法4条3項により契約の申込みないし承諾を取り消すことができます。この場合、約定解除にはあたりませんので、違約金を支払う義務はありません。
 なお、訪問販売においては特定商取引法により、同法が定める契約書面(契約内容のうち,法が定める重要な事項を記載した書面)を交付された日から8日を経過する前であればクーリング・オフが可能となっています。しかし、本件では契約書作成から1か月が経過しているため、適法な契約書面が交付されている限り、クーリング・オフは使えません。